つむぎ語り~心を紡ぐ、言葉の旅

語り口調のエッセイよ。

地域に溶け込む難しさと震災後の復興

あたし、この田舎に越してきて10年経つのよ。

同じ地区でできた友人たちも、地方から越してきた人ばかり。

地元の方々からすれば、10年経っても「ヨソ者」扱いってのが現実でね。

だから、自然と同じ「移住組」同士で固まってしまうのよね。

これはこの地区だけかもしれないけどね、地域に馴染むのってなかなかの試練よ。

そして思い出すのは、昨年の震災。

津波警報が出たとき、避難する人たちの中で、お年寄りの一部は「今まで津波なんて来たことないから大丈夫だ」と逃げなかったのよ。

あたしゃ正直、「何でもいいから、とりあえず逃げて!」って思ったわよね。

結果的に4メートルの津波が来たのよ!

あの時逃げてなかったらと思うと、ゾッとするわ。

1年経った今でも、長女の高校の校庭は使えないし、校舎も一部立ち入り禁止のまま。

次女の中学校も、やっと最近体育館が使えるようになったわけ。

まだまだ復興の途中なのよね。

それでも、あたしはこの海辺の生活を選んでここに来た。

地元の温かさもあれば、よそ者としての試練もある。

でも、ここでしか見られない景色や、震災を共に乗り越えた友人と支え合う日々に感謝してるわ。