つむぎ語り~心を紡ぐ、言葉の旅

語り口調のエッセイよ。

おじさんがお金の次に車を要求してきた話

そうそう昨日のつづきよ。

もう返って来ないと思っていた5000円は、しばらくして返してもらったのよ。

正直、返さなくていいから二度と来ないでほしいと思っていたのよ。

案の定よ、今度は「その車を貸してほしい」って

端にとめている古いバンを指さしておじさんが言ってきたの。

「あれは主人の車なので....」と遠回しに断ったのよ。

そしたらすかさず「今、使ってます?」て聞いてくるじゃない。

......使ってない。

東京に住んでいる主人が使わないからって置いていったのよ。

あたしって不器用でうまく断るスキルをもっていないのよ。

だから、いろいろ言い訳を考えて口をもごもごさせてたけど、もう、めんどくさ~っ!てなってしまってね。

おじさん、手を合わせて頭をペコペコさせてお願いしてくるから、あたしは神社の神様か!って感じよ。

もぉ、願いを叶えるしかないの?

どうぞどうぞ、もう、とっとともってけ~い!って感じで車のキーを渡したわよ。

やけくその神様になるしかなかったわ。

でね、すぐ返すって約束したにもかかわらず、しばらくたっても返しに来ないじゃないの。

あれ?もしかしてこれ、うちの車が旅に出ちゃったのかしら?って不安になってきちゃって。

何か事故でも起こされても大変じゃない。

おじさんの名前は聞いたけど電話もないから連絡できなくってね。

あたしもその辺に関しては緩すぎたと反省したわよ。

当時は、今より頭の中、お花畑なあたしだったから、車ごと老夫婦が夜逃げするかもなんて考えもしなかったわけ。

家の場所はなぜか子供たちが「あの辺だよ」って知ってて、

探偵のごとく、その辺りを探し周ったら大きなバンがとまっているからすぐわかったんだけどね。

老夫婦は夜逃げもせずちゃんと家にいたわよ。

ドンドンドン、ピンポンピンポンピンポン 

ってまるで悪徳金融会社の取り立てみたいな気分よ。

しぶしぶと玄関から出てきたおじさんは、車もしぶしぶと返してきたわよ。

その態度にさすがのあたしも、ムッとした態度をとったわね。

借りる時はあんなにペコペコしてたのにさ。

とにかく無事に帰ってきてくれてよかったとバンを抱きしめたくなったわ。

もう今度こそこれで終わりよ!

ドラマのラストシーンのごとく清々しい気もちでいたわ。

もう二度と会うことは.....いや、待て待てい!

犬の散歩でまた家の前を通るんじゃないっ?

そもそも近所は散歩道だらけで、むしろ散歩道しかないくらいなのに、わざわざあたしん家の前の道を通らなくてもいいじゃない。

まぁ、そこは人の自由だから仕方がないけどさ。

いや、でも、さすがにもう避けて通るわよね。

普通ならもう気まずいってもんでしょう。

ないない、もう会わない。終わり終わり、チャンチャン。

 

しかし....感がいいと言われるあたしの予想をひょいっと超えてきたのよ、あのおじさんは!

またまたあたしには、めんどくさ~な事が降りかかってきたのよ。

長くなったからつづきは次回にするわね。