つむぎ語り~心を紡ぐ、言葉の旅

語り口調のエッセイよ。

海が見えるマイホーム – その理想と厳しい現実

あたしね、ずっと「海が見える場所に家を建てたい!」って夢見てたのよ。

海の景色って憧れるじゃない?

で、ついに念願叶って、徹底的に風水を取り入れて自分で設計してね、有名なハウスメーカーに頼んで建ててもらったのよ。

でも、もう20年になるからね、潮風をまともに受けてボロボロの壁よ。

まあ、あの震災の時に近所の家は壁にヒビだらけ、屋根は崩れたり家が傾いてたりしてたけど、この家が無事だったのは奇跡かしらね。

理想の海が見える家の暮らしってやつ、なかなかの曲者だったのよ。

海が見える生活 – 美しいけどやっぱり試練が多い

移り住んで20年。水平線から昇る朝日や星空、月が海に映る夜景なんてもうね、映画じゃないかってくらい美しかったのよ。

それだけでも、この土地で暮らす価値があったと言えるわ。

でも、それだけじゃないのが現実なのよね。

もう20年も経つとね、「一刻も早く海の見えない場所に引っ越したい!」って思うのよ。

田舎暮らし、聞こえはいいんだけど、甘く見てたわね。

海風が強いし、湿気は多いし、家のメンテも大変なのよ。

あの頃のようにもうメンテできる資金もないからどんどんボロになっていて、「おまえんちオバケ屋敷ー!」って寛太に言われそうよ。

想像以上に厳しい現実

まず困ったのが病院が少ないこと。

田舎暮らしは健康なうちは問題ないんだけど、ちょっと体調崩したり、ケガでもしたりしたら大変よ。

特に歳を取ってからが問題で、近所の老夫婦なんかも都会から越してきてるけど、病気になったときとかね、車がなければどうしようもないわけよ。

病院までの距離が遠いと、心細さったらないわよ。

そしてもう一つは、庭の草むしり

これがまた、草木がボーボーに伸びるのよ。

庭があるからって安易に憧れてたけど、これがなかなか厄介でね。

放っておいたらあっという間にジャングルよ!

あと虫やトカゲやムカデやナメクジとの戦いも覚悟しないとね。

塩害対策も大変、自転車や車、電化製品はすぐにダメになるのよ。

あと洗濯物が渇きにくい、布団も長時間干してたらじっとりよ。

ほぼ毎日風が吹いているから菜園や花壇をするには忍耐と根性が必要よ。

田舎暮らしを考えてるなら、よく考えて!

自然の中での生活はね、のどかで癒されるし確かに魅力的なのよ。

だけど、都会と違って近くにスーパーもコンビニもない。

車やバイクがなきゃ生きていけないし、何かあった時のことを考えないとね。

特に老後のことを考えると、やっぱり町の近くに住んだほうが安心って思うわ。

美しいけれど不安な日々

朝焼けや星空がどれだけ美しいといっても、地震があるたびに胸がざわつくのよね。

「次こそは大きな津波が来るかも」なんて考えが頭をよぎると、せっかくの夢の家も心からは楽しめないのが現実よ。

もし津波が来たら、逃げるのも大変だし、そんな時に頼れる人もいない。

夢を叶えるのも大切だけど、日々の安心や安全もやっぱり大事。

そんなことを考えさせられる田舎暮らしよ。