つむぎ語り~心を紡ぐ、言葉の旅

語り口調のエッセイよ。

母のパーキンソン病~ドーパミン不足って何!?~

今回は母のパーキンソン病の話しでございますよ。

15年くらい前になるかしらねぇ、母が「最近手が震えるのよ」と言い始めたのよ。

水商売が長かったとはいえアル中になるほど飲んではいないし、店を辞めてからは、全くお酒を飲まなくなっていたんでね「パチンコ玉でも打ちすぎたんじゃないの?」なんて、冗談まじりに言ってたんだけど、まさかそれが大きな問題の兆しだったとは思いもしませんでしたよ。

だんだんその震えが大きくなってきてね「おいおい、こりゃただの老化現象じゃ済まないんじゃない?」って思い始めたのよ。

年を取ると、まぁ、いろんなところにガタが来るってのはわかってたけど、なんだかんだで元気な人だったもんだから、余計に心配しちゃってね。

そうこうしているうちに、今度は足までガクガクと震えだして、歩く姿がまるでウォーキングデッドのウォーカーのようでね。

いやあ、さすがに笑い事ではなくなってきてすぐお医者様へ行くように勧めたんですよ。

で、病院で調べてもらったら、どこも異常なし! まぁ、こちらとしてはひとまずホッとしたわけです。

それでも震えがどうしても気になりまして、もっと他の病院を勧めたわけです。

他の病院を回って、ついには脳の検査までしましてね。

それでも「異常なし!」って…そんな言われても、あのガクガク震える足は現実なわけよ。

「お医者さん、あたしの目の前でウォーカーのごとく歩いてる母見てる?」って言いたくなるくらい。

でね、あたしも考えたのよ。「これって、まさか…運動不足すぎて軽いもん持っただけで筋肉がプルプル震えてるんじゃない?」ってね。

いやぁ、あたしたち親子、脳天気なところあるもんだから、母も「そりゃ年も取るし、動かないからねぇ」なんて軽~く言ってるもんだから、あたしも「ほんとだわ」ってついつい笑っちゃうのよ。

考えたら、ウォーカーみたいに歩いてるのも運動不足が原因かも?なんてね。こうやって、深刻な状況でもあたしたち、どこか楽観的だったわけ。

ところがね、ある日、かかりつけの総合病院に週1で現れる、まるで「今週のスポットライト!」って感じの先生がいらっしゃってね。

その先生が母をひと目見た瞬間、まるで名探偵のごとく「こりゃ、パーキンソン病ですな」ってピタリと診断してくれたのよ!

あたしも母も、思わず「え?そんなにあっさり?」って感じよね。

今までいろんな検査して「異常なし」だのなんだの言われてたのに、まさかの一発でズバリ診断!

こういう瞬間ってね、ドラマみたいに「来たーっ!」って感じで、やっぱりプロってすごいなって思うわけ。

しかもね、その先生がただものじゃないってことが後からわかったのよ!

なんとそのお医者様、パーキンソン病の治療に詳しい東京の有名な病院のお医者様だったのよ!

いやぁ、調べたらびっくりしちゃってね。こんなスペシャリストに母が診てもらうなんて、ラッキーすぎるわ!運がいいっていうか、強運の持ち主よねぇ。

いやぁ、こんな頼もしいスペシャリストに当たるなんて、母ったら宝くじでも当てた気分よね(笑)。

パーキンソン病って、日本には15万人~20万人くらいいるらしいんですよ。

人口700人あたりに1人の割合ってね。

神経変性疾患の中でアルツハイマー病に次いで2番目に多いらしいのよ。

脳の中で「運動しろ!」って指令を出すドーパミンって物質が減っちゃうことで、体がうまく動かなくなるんですって。

症状は「手足の震え」「手足のこわばり」などがあって、身体の片側に始まり、他の部分へ進行するらしいのよ。

50~65歳に発症することが多いそうだけど、高齢になるほど発病率が増加するんですって。

日本では女性に多い病気らしいから同じ女として不安になってきたわよ。

ドーパミンがどうして減るかというとね、脳の中に「ドーパミンカフェ」があるのを想像してみて。

このカフェ、めちゃくちゃオシャレで、みんなが「元気出るドリンク」を買いに来る人気店。

でも、このカフェを切り盛りしてるのが“黒質さん”という店長。

最初のうちは、毎日元気に働いていて、どんどんドーパミンカフェラテを出していたのよ。

「運動したくなるエスプレッソ、いっちょ上がり~!」とか、「笑顔になるモカいかがです?」なんて、ノリノリで。

ところが、ある日ふと気づくのよ。

「あれ?なんか最近、店のスタッフが減ってるな…?」

忙しい繁忙期にバイトの子がどんどん辞めていくみたいな感じ。

年齢を重ねるにつれて、黒質店長の頼みの綱であるスタッフたち、つまり「ドーパミン製造チーム」がひとり、またひとりと辞めていっちゃうのよ。

もしかしたら、年末調整が面倒くさいとか、社割がなかったとか、いろんな理由があるのかもだけど、とにかくどんどん減っていく。

結果、カフェのドリンクが足りなくなって、お客さんが「運動指令ドリンク、まだですか?足が動かないんですけど!」とか、「手の震えが止まらないんだけど、エナジーショットどこ?」って文句を言い出すわけ。

でも、黒質店長は一生懸命頑張っているけど、スタッフが減ったからしょうがないのよ。

「もう限界だ!このカフェ、たまには休ませてくれ…」っていう店長の悲鳴が、パーキンソン病の症状として現れてるんですって。

で、これが治療薬でちょっと手助けをして「即席ドーパミンカフェ」を作ってる状態なのよね。

薬を飲むと、代打のスタッフが来て、ちょっとだけカフェがまた回りだすのよ。

だけどね、完璧な復活は難しくて、スタッフの完全補充はまだ難しいんですって。

なので、黒質店長に無理させないように、ゆるーくカフェ運営を続けてもらうのが今の治療法なんですって。

ってことで、ドーパミンが減るのは、脳内の「ドーパミンカフェ」のスタッフが少なくなっちゃうから!

どう、少しイメージしやすくなったでしょ?

ではね、どうしたらドーパミンが増やせるかって話し。

ドーパミンカフェが活発に運営していくにはね、まず運動!

これはドーパミンカフェにとって「目玉商品」みたいなもんで、体を動かすとカフェが宣伝されて、「あれ?最近あのカフェ、なんか良さげじゃない?」ってな感じでお客さんが増えるのよ。

特にウォーキングや軽いジョギングなんかすると、脳が「運動しようぜ!」ってドーパミンを注文するんのよ。

まるで行列のできるカフェみたいにドーパミンがブワーッと増えていくって寸法よ!

でもね、あんまり激しい運動はNG。

適度な運動が大事。お散歩程度でOK。

次に大事なのが食事!
これがドーパミンカフェの仕入れにあたるわけ。

店長に「ドーパミンラテ」の原材料をしっかり供給しないと、カフェが閉店ガラガラになっちゃう!

特に大事なのが「チロシン」という材料で、これは牛肉とか魚とかチーズなんかに含まれてるんですって。

これらをしっかり食べると、「お、今日は仕入れが充実してるぞ!」ってことで、店長も安心してドリンクを作り続けられるわけよ。

ドーパミンラテ、いっちょ上がり~!」ってね。

そして、ビタミンB6も大事なパートナー!

これは「チロシン」をドーパミンに変換する魔法の道具みたいなもので、バナナやアボカド、ホウレンソウなんかに多く含まれてるんですって。

それから睡眠!
カフェも24時間営業だと、店長もさすがに疲れちゃうわよね?

だから、しっかり休ませてあげるのが大事。

つまり良い睡眠。寝不足だと、カフェのスタッフも店長もフラフラで、「もう今日は営業しなくていいかな…」ってなっちゃう。

そうならないために、規則正しい睡眠を取ることで、カフェがリフレッシュしてドーパミンをしっかり作れるようになるのよねぇ。

寝る前のスマホやテレビの長時間視聴は「ドーパミンカフェ」のシャッターが下ろせなくなるんで、寝る前はちょっとリラックスするような音楽や読書なんかをして、店長に「もう閉店時間ですよ~」って知らせてあげるといいんじゃないの。

さて、次に重要なのがポジティブな感情!

ネガティブな感情ばかりだと、カフェの雰囲気もどんよりしちゃうわよね?

逆に楽しいことや嬉しい出来事があると、「お、なんか今日はお客さんの笑顔がいっぱいだな!もっと働こう!」ってなるのよ。

これが脳にとっても同じで、ポジティブな感情はドーパミンを増やす強力なエネルギー源なわけ。

楽しいことがあると、カフェの中もわっしょいわっしょい大騒ぎで、「ドーパミンラテもう一杯!おかわり!」って注文が殺到するわけ。

友達と笑い合う時間とか、好きな音楽を聴く時間とかね「自分の好きなこと」を楽しんでいると、脳が「おっ、これだこれだ!」って感じで、ドーパミンをバンバン増やしてくれるのよ。

何かに夢中になってる時って、時間を忘れちゃうほど没頭するわよね?

その瞬間、ドーパミンカフェはフル稼働中なわけ!

というわけで、ドーパミンを増やすコツは「運動、食事、睡眠、ポジティブな気持ち、そして趣味」ってな具合に、カフェの人気メニューを上手に回していくことなのよねぇ。

あたしも自分の脳内カフェ、繁盛させていきまっしょい!

昔は寝たきりになっちゃう大変な病気だったらしいけど、今じゃ薬とリハビリで普通に生活できると聞いて少し安心したわよ。

母ったら最近、お出かけすると「長時間歩くと足が辛いわぁ」なんて言いながら、よく腰掛けるんですよ。

でもね、そのくせ年寄り扱いされるのが大っ嫌いなのよ!

さっきまで自分で「足が辛い」って言ってたの、誰ですか?ってツッコミたくなるんだけどね(笑)。

ほんと、プライドが高いっていうか、意地があるっていうか。

自分でしっかり歩けてた時の気持ちが残ってるのよねぇ。

車椅子や押し車を勧めるとね、「そんなもん、まだいらないわよ!」ってピシャリと拒否されちゃうのよ!
まぁ、年寄り扱いされるのがイヤだっていう気持ちはわかるけどねぇ、どう若く見ても70歳過ぎてるからね(笑)。

でもね、本人がまだそう思ってるなら、それはそれでいいかなって思うのよ。

やっぱり、気持ちが若いっていうのは大事なことよね。

ただ、こっちとしては心配だから、「そろそろ押し車とか考えた方がいいんじゃない?」って

そこで考えたわよ。年寄りに見えないシルバーカーってないのかしら?と

ネットを駆使して探しに探して…ついに見つけたわよ!

母の好きなローズ柄で、しかも超コンパクト!

まるで「これ、シルバーカーじゃなくて、オシャレな買い物カートですわよ」って感じのデザイン。

しかもお手頃価格で、レビューも高評価!

これなら、さすがの母も気に入るだろうと、敬老の日にバシッと送りました!

さっそく試しに押してみると、「あら、これは軽い!」って、まるでカートを押すF1ドライバーよ。

これならお出かけも楽チン!なんて思ったんだけど、母ったら「でもこれでスーパーには行かないわよ。年寄りっぽいじゃないの!」って、さっそく拒否!

もう、さすがよね。なんて頑固なのかしらって、あたしも苦笑いしちゃったわよ。

「年寄りっぽいって…いやいや、年寄りですから!」ってツッコミたいのをぐっと堪えてね(笑)

母がね「どこか遠くへ出かける時には使わせてもらうわ」って言ってくれた時には、あたしもホッとしちゃったわよ。

まだまだ元気が残ってる証拠だなって安心しましたわ。

いやぁ、さすがうちの母、ただじゃあ年寄りにはならないのよ(笑)

そんなこんなで母の「若さにこだわる闘い」はまだまだ続くわけ。

結局は、年齢って数字だけじゃなくて、心の持ちようなんだなって思うのよね。

いくつになっても「まだまだ若い!」って思ってるうちは、それが活力になるんだろうなぁって。

さぁ、今日こそローズ柄のシルバーカーを押して元気にお出かけ…しないかな(笑)