つむぎ語り~心を紡ぐ、言葉の旅

語り口調のエッセイよ。

図太さとマイペースで乗り越えた私のいじめ体験

あたしってよく「すごい図太いね」なんて言われることがあるのよ。

まぁ、確かに今のあたし、ちょっとやそっとじゃ動じない。

何があっても「ま、いっか」って流せるくらいには、心臓に鎧でも付けてるんじゃないかってくらいね。

でも、こんなあたしも生まれたときから図太かったわけじゃないのよ。

いや、もしかしたら生まれつきなのかもしれないけど。

子どもの頃はもう少し繊細な面もあった…はずよ。

振り返ってみると、やっぱりあの経験が大きかったんだと思うの。

そう、いじめ。

これって、誰もが一度はどこかで関わったことがあるんじゃない?

加害者側だったり、被害者側だったり、もしくは傍観者としてその場にいたことがあるかもしれない。

あたしの場合は、残念ながら被害者側だったんだけど、その経験が今のあたしを形作ってるのよ。

辛い経験も、今では強さの源になってるってわけ。

少し昔話をさせてもらうわね。

いじめのきっかけって、意外と自分の知らないところで決まってたりするのよね。

子どもって自分たちのことしか見えてないけど、実は大人の事情が絡んでくることもあるわけ。

あたしの場合、理由なんて分からないままに、突然友達が話しかけてこなくなって、無視されるようになったの。

仲のいい子から「お母さんにもう遊んじゃダメって言われた」って突然言われたときは、本当に訳が分からなくて口ポカーンよ。

なんでかって?それはね、後になって母から聞いてわかったんだけど…

 

じつは母が保護者会で、役員を無理やり押し付けられそうになったときに、

「私はお店があって忙しくてできないから、時間に余裕がある専業主婦の方がやればよろしいのに」

ってバシッと言い放ったことが原因だったのよ。

もう、その場では誰も反論できなかったらしいけど、どうやらそれが響いたのか、母の言葉がきっかけで、あたしまで標的になっちゃったのね。


今はそれほどでもないかもしれないけど、当時は水商売って世間的にあまりよく思われてなかったのよ。

スナックの子なんてろくなもんじゃないから関わっちゃダメ、みたいな風潮でね。

奥さんとしちゃ、どんなきっかけで自分の旦那が飲みに行ってはまるかわからないから心配よね(笑)

あたしの母はそりゃもう大原麗子ばりの美人だったからね。

ちょこっと盛ってるかもしれないけど本当なのよ。

映画監督やプロデューサーから何度もオファーがあったらしいわよ。

話しは逸れたけど、当時で髪も金髪に染めて派手だったから、やっかみもあったのかしらねぇ。

四面楚歌は子供心に辛かったけど、今ではあの経験があたしを強くしてくれたんだと思ってるわ。

でもね、別にあたし、母を恨んでるわけじゃないのよ。

母だってあのときは事情があったわけだし、むしろ母も強く生きるために戦ってたんだと思うのよ。

母もね、子供の頃は相当大変だったらしいの。

親がいなくて貧乏だったことで、ずいぶんいじめられてきたって話を聞いたわ。

だから、今あたしがこんなに図太くなったのも、もしかしたら母の影響があったのかもしれないわね。

親から子へ、図太さが受け継がれてるってことよ(笑)

それにね、あたしも母と同じように学校で役員の委員長をきっぱり断ったことがあるのよ。

でも、あたしのときは何も問題が起こらなかったの。

なんでかっていうと、あたしはお母さんたちと仲良くしてたからね。

娘にいじめが飛び火しなかったのは、そんな人間関係の持ち方が影響してたのかも。

母とあたしの違い、時代の違い、環境の違い…いろんなことが絡み合って、いじめって複雑なものなんだなって思うのよ。

結局、いじめを通して学んだのは、心の強さ、そして人との距離感をどう持つかってこと。

大人になっても、このスキルって大事だわね。

【私は私】というペースを強く持つことも大事よね。

図太さとマイペース、これがあたしを救ってくれたと思うのよ。