つむぎ語り~心を紡ぐ、言葉の旅

語り口調のエッセイよ。

クラスのボスを倒した日:最強になった瞬間

前回の記事でいじめられていたことについて書いたけど、いじめられても平気だったわけじゃないのよ。

でもね、あたしって顔に出さないのが得意だったのよね。

心配させたくないから親にも言えないし、友達だと思ってた子たちまでいじめてくるんだもの。

頼れる人なんてどこにもいなかったのよ。

でも、学校に行かなきゃ負けだと思ってたから、どんなに辛くても毎日登校してたわ。

変なとこに根性あるのよ、あたし(笑)

でね、その頃から「強くなりたい!」って思い始めて、格闘技に興味を持ち始めたのよ。

ジャッキーチェンやプロレス全盛期の時代だったからね。

空手とかプロレスの技をね、家でこっそり真似して特訓してたの。

手の皮が剥けるくらい練習して、もう「いつでもかかってこい!」って感じ。

押し入れが穴でボッコボコになるくらいよ(笑)

今では笑える話だけど、当時は真剣よ!

そんな感じで、誰も口を聞いてくれない学校に、ちゃんと通学していた、ある日、親の店が移転することになって、あたしも転校することになったの。


もう、「ラッキー!」って気分よ。

新しい学校、新しいスタートって期待したわよね。

次の学校では絶対友達いっぱい作って、毎日楽しい学校生活にするんだってわくわくしてたのよ。

でもね…転校先でも、またいじめの標的になっちゃったわ。はぁ、運命ってやつかしら。

転校生って異世界から来た人物のような扱いなのよ。

誰れかに近づこうとすると、クラス全体が一瞬ザワッと動揺する感じ。

目を合わせないようにチラチラ注目されてる日々よ。

珍しくて寄ってくる子や、やけに世話好きな子もいるわね。

そして謎の生命体をなかなか受け入れられないのがクラスのボス的存在よね。

転校生に注目がいってるのを面白く思わないわけよ。

で、クラスのボスを中心に、毎日チクチクやられてたわね。

でも、あたしもさすがに限界が来るわけ。

ある日、ついにキレちゃったのよ!

気がついたら、机ごとボスをひっくり返してたわ!

あたし自身もびっくりよ。

「えっ?あたし、こんな力あったの!?」って(笑)

毎日の特訓の成果が出た瞬間よね。

でね、慌ててひっくり返ったボスの手を取って「大丈夫!?ごめんねっ!」って起こしたのよ。

そしたら、周りの子たちが急に「すげぇ!」「つえー!」なんて言い始めて、あたしが一気にクラスの“強い人”扱いよ。

もう、漫画の主人公かってくらいの急展開(笑)

これってまさに昭和的展開だと思うの。

今なら絶対こんなことないわよね。

今の時代なら、暴力沙汰で大きな問題に発展していたかもしれないわね。

もっと話し合いとか、いじめ対策とかの方向にも行くんだろうけど、昭和は違うのよ。

力技で解決したら、みんな認めちゃうっていうあの雰囲気。

その後はね、ボス達ともすっかり仲良くなっちゃって、毎日が楽しくなったわ。

これもまた昭和ドラマみたいでしょ?

みんな素直でいい子達ばかりだったのかしらね。

あたしが辛かったのは、その後また転校しなきゃいけなくなったとき。

また親が2件目の店を出すことになって、自宅兼店舗を構えたから引っ越すことになったのよ。

やっとクラス全員が「親友!」って言えるくらい仲良くなってたのに、またお別れよ。

もう、さすがにあのときは泣いちゃったわ。

結局1年半しかみんなと一緒に過ごせなかったけど、濃かった日々だったわ。

心に残るくらい素晴らしい担任の先生と出会えた事もいい思い出よ。

人生って、ほんとドラマチックよね。

あのときは「負けないぞ!」って必死だったけど、今はその経験があたしを強くしてくれたんだなって感じてるわ。

転校する時に、先生とクラスのみんなが色紙に書いてくれたメッセージを読むと、今でも泣けるわね。